「横截五悪趣」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:21時点における最新版
おうせつごあくしゅ/横截五悪趣
『無量寿経』巻下所説の「横に五悪趣を截り、悪趣自然に閉じ、道を昇ること窮極なり」(聖典一・二六〇/浄全一・二四)の一節で、「極楽に往生すれば、地獄・餓鬼・畜生・人・天という五つの悪しき世界へと転生する道を瞬く間に断ち切り、それら悪しき世界へと至る道が自然と途絶えてしまい、どこまでも仏道を歩み進んで行く」ということ。道光は『無量寿経鈔』六(浄全一四・一九〇上)で「五悪趣を截ち」について「その果を截る」と注釈し、また「悪趣自然に閉ず」について「その因を閉じる」と注釈して、浄土に往生した後には輪廻の世界に立ち戻る一切の因果が断ち切られるとしている。義山は『無量寿経随聞講録』下一(浄全一四・四三六下)で「往生以後は無漏智を起こすから一切の煩悩を断ち切る」と注釈している。また聖光は『西宗要』二で「横截五悪趣事」(浄全一〇・一七七下~九下)という項目を設け、ただ阿弥陀仏の本願によるからこそ無漏無生の宝国である極楽浄土に生前に煩悩を有する有漏の凡夫が往生し得ると主張している。
【資料】『西宗要』二、『西宗要聴書』本
【参考】柴田泰山「『無量寿経』所説の五悪段について」(『三康文化研究所年報』三九、二〇〇八)
【執筆者:柴田泰山】