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「摺仏」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:26時点における版

しゅうぶつ/摺仏

同一の仏・菩薩を数多く図示する必要から、特定の仏・菩薩版木に彫り、その上に紙をおいてり出したものをいう。「すりぼとけ」とも呼ばれる。また同種のものに印仏がある。これは印章のように上から捺印したものをいう。摺仏印仏の歴史は古く『正倉院文書』の「経巻納櫃帳きょうかんのうひつちょう」に出てくるが、その中心は平安時代以降である。この摺仏印仏の製作が、彫刻によって仏をつくるより経済的に容易で、多数の造仏が可能であることにより、個人の作善業・供養業として盛んに行われた。鎌倉・室町時代には寺院修営などの勧進札として、また結縁者に授与される守り札として用いられた。特に鬼形の「つの大師」として知られる良源摺仏は魔除けの護符としてつくられ、現世安穏・無病息災の摺仏として庶民の生活の中に広く受けいれられた。


【参考】徳力富吉郎『日本の版画』(河原書店、一九六八)、成田俊治「摺仏・印仏攷」(『鷹陵史学』三・四合併号、一九七七)


【参照項目】➡良源


【執筆者:成田俊治】