「七九条袈裟」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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しちくじょうげさ/七九条袈裟
袈裟の一種。顕色の九条を七条と二条に分割して、盛儀には綴り合わせて九条とし、通常は七条として用いることができる袈裟。二肩を合わせて九条と称する例は日蓮宗にもあるが、天台・真言等で用いる七条・横被(右肩に掛ける条割りのない覆肩衣)と同じもので、九条は単なる名称にすぎず、七九条は他宗派には見られない浄土宗独特の袈裟である。このように七九条は、九条(僧伽梨)と七条(鬱多羅僧)の双方に用いることから、三衣に分類し難いため、『法要集』には「別に七九条がある」と記されている。七九条はあらかじめ七条と二条を綴り合わせて、二条部分を左腕へ掛けるように被着するが、着け方が複雑なため一般寺院で用いる機会はそれほど多くない。明治一二年(一九七九)に発せられた知恩院の「御忌法則」には、「唱導師は七九条直綴座具水冠差貫領帽等着用すべし」との定めがあり、御忌大会の唱導師は七九条を被着することが慣例とされている。
【参考】『知恩院史』(知恩院、一九三五)
【執筆者:熊井康雄】