「三徳」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:24時点における最新版
さんとく/三徳
一
さとり(涅槃)が具える三つの徳性のこと。すなわち①法身、②般若、③解脱の三つの徳性。これら三つについては『大乗理趣六波羅蜜多経』一に「摩訶般若解脱法身」(正蔵八・八六八中)という表現がみられ、また『涅槃経』の南北両本(いずれも巻二、正蔵一二・三七六下、同六一六中)には、解脱之法・如来之身・摩訶般若はそれぞれが涅槃なのではなく、これら三つが梵字の伊の字([悉曇:i])のように揃って涅槃であると説かれる。これは伊の字が三点からなり、どれか一点が欠けたり、また三点すべてが揃っていてもその並びによっては文字の意味を表さないように、涅槃もまた法身・般若・解脱の三法をもつものであり、またしかるべく関係を保つことによって成立することを意味している。『涅槃経』のこの個所は、中国撰述の論書によって詳しく注釈され、様々な解釈が施されている。
【資料】『三種悉地破地獄転業障出三界秘密陀羅尼法』、『観無量寿仏経疏妙宗鈔』
【執筆者:石田一裕】
二
諸仏に具わる自利利他の三つの徳。第一にあらゆる智慧を具足する智徳、第二にもろもろの煩悩を滅し尽くす断徳、第三に大悲を起こして衆生を救いとる恩徳。前二は自利、後一は利他に属する。『俱舎論』帰敬偈ではこの三徳をもって仏を讃歎する。また三徳を仏身に相当させて、断徳を法身、智徳を応身、恩徳を化身とすることもある。
【資料】『俱舎論』一、『摂大乗論釈』一三
【執筆者:石上壽應】
三
衆生に修行を勧める三つの仏徳。無余修・長時修・無間修・尊重修を成満させる因円徳、智円徳・断円徳・威勢円徳・色身円徳を円満した果円徳、あらゆる衆生を解脱させる恩円徳の三つをいう。
【資料】『俱舎論』二七
【執筆者:石上壽應】