「念仏三昧宝王論」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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ねんぶつざんまいほうおうろん/念仏三昧宝王論
三巻。唐・飛錫撰。八世紀中頃の成立。最上の善であり、万行の根本であり、三昧の王ともいえる念仏三昧を、三世一切の仏を通じて実修すべきことを論じたもの。上中下三巻二〇門のうち、上巻において未来仏たる一切衆生を念じ、中巻においては現在仏たる阿弥陀仏を念じ、下巻においては過去仏たる釈尊を念じる三世円通の念仏や、常不軽菩薩の行である法華三昧と『般舟三昧経』所説の念仏三昧を共に無上深妙禅門であると位置づけて、両者の融合一致を説いている点が注目される。また、念仏三昧を八万四千の法門の異名とするなど、万善がすべて念仏三昧に集約されるとする点も特徴といえる。本書の流伝を示す中国最古の引用は延寿『万善同帰集』であり、これ以後宋代の王日休『龍舒浄土文』や宗暁『楽邦文類』等に引用されている。日本においては鎌倉期以降に流布し、法然門流の親鸞や良忠等にも用いられている。
【所収】浄全六、正蔵五二
【参考】唐中期仏教思想研究会『念仏三昧宝王論の研究』(ノンブル社、二〇〇九)
【参照項目】➡飛錫
【執筆者:吉水岳彦】