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飛錫

提供: 新纂浄土宗大辞典

ひしゃく/飛錫

八世紀頃、生没年不明。中国唐代中期に長安で活躍した天台僧。初めに律儀を学び、後に楚金と共に天台の法門を研習する。天宝元年(七四二)に長安へ遊学し、終南山紫閣峯草堂寺に止住した。朝廷の勅により、止雨の祈願や、長安の千福寺・安国寺にある法華道場の監督役などを務めている。また、不空の訳経場において筆受潤文の任にあたり、『仁王護国般若経』二巻、『密厳経』三巻、『大集大虚空菩薩所問経』八巻等の翻訳に関わる。著作には晩年の執筆と考えられる『念仏三昧宝王論』三巻、および『無上深妙禅門伝集法宝』(佚)、『誓往生浄土文』(佚)がある。この他、同行僧楚金や訳経僧不空等のために書かれた碑文がある。現存する『念仏三昧宝王論』には、法華三昧念仏三昧の融合や、三世円通念仏など、独特な教義が展開されている。


【参考】唐中期仏教思想研究会「唐代中期仏教の研究」(『大正大学綜合仏教研究所年報』二三、二〇〇一)


【参照項目】➡念仏三昧宝王論


【執筆者:吉水岳彦】