「続選択文義要鈔」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:28時点における最新版
ぞくせんちゃくもんぎようしょう/続選択文義要鈔
三巻。静遍著。奥書には建保六年(一二一八)一〇月四日に北白川嶺殿の善導像の前で本書を読んだという記述がみえ、この時期の撰述とみられる。法然の八選択に加えて、選択成仏、選択涅槃、選択能生、選択大乗、選択帰命の五箇の選択を付け加え、密教的な理解にもとづいて『選択集』を再解釈したもの。原本は散逸しているが、真宗高田派の顕智の写本(下巻のみの零本)が福井県法雲寺に現存する。顕智自筆の高田専修寺蔵の「抄出」「聞書」には中巻の逸文が見え、同じく顕智自筆の「涅槃経云」の外題がある要文集には上巻の逸文が見える。『選択集』の所依聖典の一つに法然未見の『般舟讃』を補遺したため、『続選択』といわれる。建保五年(一二一七)に静遍は仁和寺の宝蔵で法然未見の『般舟讃』を発見しているが、本書にはその経緯が記され、新出の『般舟讃』の本文を引用し十門に分けて「十門秘義」として静遍独自の立場から註釈しており、本邦初の『般舟讃』注釈書という性格も持つ。奥書には、撰述後に真如堂で本書を講読し多数の参詣者に聴聞されたことが記されている。
【所収】『仏教古典叢書』
【参考】石井教道『選択集の研究 註疏篇』(誠文堂新光社、一九四五)、生桑完明「続選択の断章二篇発見に就て」(『高田学報』一二、一九三六)、藤原猶雪「史料としての続選択文義要鈔」(『日本仏教史研究』一の丸出版、一九七四)、石田充之『法然上人門下の浄土教学の研究』下(大東出版社、一九七九)、山田文昭「続選択文義要鈔解説」(『日本仏教史の研究』法蔵館、一九七九)
【執筆者:伊藤茂樹】