「悔過」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:23時点における最新版
けか/悔過
自らの犯した罪過を告白して心から悔いあらためることで、懺悔とほぼ同義。また、その儀式をいう。悔過(懺悔)を伴う行法は大乗ではインド以来古くから用いられていたようである。『郁伽羅越問菩薩行経』(正蔵一二・二六下〜)などに「三品法経」を読誦することが見られるが、この「三品」とは懺悔、勧請、随喜を指すものであり、安世高訳『舍利弗悔過経』などに説かれる形式と同等であろうと推測される。これは仏前で行われたようである。また仏名を称することによる悔過を中心に、回向、懺悔、随喜、勧請、発願から構成されて儀礼化したものが、『大宝積経』優波離会に見られ、三五の仏名が挙げられる。中国でもこのような悔過が行われたことは、『広弘明集』二八に「梁陳皇帝依経悔過文」(正蔵五二・三三〇下)として一〇首を挙げることからも知られる。これらの悔過は本尊とされる仏・菩薩によって薬師悔過、阿弥陀悔過などと呼ばれ、その際に用いられる懺文は依拠する経典に従って勝天王般若懺文、妙法蓮華経懺文などと呼ばれる。日本では『法華経』による法華懺法が盛んであった。また、『源流章』(浄全一五・五九〇上)には法相宗の昌海が『阿弥陀悔過』を選述したことを伝える。
【参考】平川彰『平川彰著作集7 浄土思想と大乗戒』(春秋社、一九九〇)
【執筆者:齊藤舜健】