「正法念処経」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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しょうぼうねんじょきょう/正法念処経
七〇巻。元魏・般若流支訳。原典の成立は四、五世紀ごろ。経名に「念処」とあるように、内観を通して三界六道の因果を詳しく説く。内容は部派仏教の正量部の説、また東山住部所伝ともいわれるが、色法について十一種色、四諦十六行相、中陰、十八不共法を説くことから説一切有部説に近いとも見られている。また大乗的色彩も見られ、特に地獄に関する説示が詳しく記されている。宗典には『正法念経』の名で引用されることが多い。法然は『選択集』一二において、行福論の深信因果について「これに付いて二有り。一には世間の因果、二には出世の因果なり。世間の因果とはすなわち六道の因果なり。『正法念経』に説くがごとし」(聖典三・一六八/昭法全三四〇)という。『逆修説法』(昭法全二六〇、同三〇一)にも同趣の説がある。
【所収】正蔵一七
【参考】水野弘元「正法念処経について」(印仏研究一二—一、一九六四)
【執筆者:大南龍昇】