「両巻無量寿経宗要」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:35時点における最新版
りょうかんむりょうじゅきょうしゅうよう/両巻無量寿経宗要
一巻。新羅・元暁著。七世紀成立。『無量寿経』の注釈書。本書は大意門・宗致門・分別門・解釈門の四科門を立てるが、第四門の解釈門つまり経文の解釈は、現在伝わっていない。本書は、浄土往生の因を、正因(発菩提心)と助因(念仏など)の二つに分けている。助因である念仏は、さらに隠密十念と顕了十念の二種に分けられている。隠密十念は、『無量寿経』中の「乃至十念」であり、それは『弥勒所問経』中の「常生慈心」から「正念観仏」に至るまでの十法を行ずる、いわゆる十法十念である。この十念の実践は初地以上の菩薩のみが可能とされる。他方、顕了十念は、『観経』中の「具足十念」、つまり称名念仏、観像念仏および観相念仏であり、凡夫の十念といえよう。また本書では、懺悔の有無が五逆罪人の往生を決定するとも説かれている。元暁の弟子審祥によって、日本にもたらされた新羅華厳宗が、東大寺など南都の寺院で盛んに研究されるにつれ、本書もよく用いられた。
【所収】正蔵三七
【参考】落合俊典『禅林寺蔵新羅元暁撰両巻無量寿経宗要(影印)』「解題」(民族社、一九八八)
【執筆者:山中行雄】