「納経」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:31時点における最新版
のうきょう/納経
現世の安隠や末世の福徳を祈り、あるいは死者の追善供養のためなどに経典を書写し、寺院や諸国の霊場に納めること。経典を土中に埋経することはインド以来行われ、この思想から神社・仏寺に大蔵経を奉納することが平安時代から盛んになり、『大般若経』や『法華経』『阿弥陀経』『弥勒経』などが納められた。藤原道長の金峯山山頂への埋経や、平家一門の厳島神社への納経(平家納経)などはその一例。北条時政が江の島の弁財天に参籠し、その前生に六六部の『法華経』を書写し、六六箇所の霊地に奉納したとの示現を感得した(『太平記』時政参籠)のが起源といわれる六十六部納経は、室町時代から盛んとなり、書写した『法華経』を全国六六の霊場に納めた。江戸時代には全国各地の有名な寺社を巡り『法華経』などを納め、受領証をもらった者が、金品を納めて寺印を受けることに変わり、現在に至っている。
【執筆者:榊泰純】