「撰集抄」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:28時点における最新版
せんじゅうしょう/撰集抄
鎌倉時代の仏教説話集。西行に仮託されているが著者は不明。建長二年(一二五〇)前後の成立と考えられている。九巻九冊の広本系と九巻三冊の略本系がある。広本は説話数一二一、略本は五八である。その内容は、神仏の霊験、寺院縁起、高僧や貴族、武士、女房、遊女などのさまざまな身分の人々の発心や出家、遁世、修行、往生などについて語られている。西行の詠んだ和歌や西行を主人公とする説話が多いこと、また体裁が西行が語り手であるかのように記されていることから、西行が記したものと長年考えられてきた。また説話の後半は、説話に基づく論評や批評に多くが割かれている。『撰集抄』は鎌倉時代初期の仏教説話集『閑居友』の影響を受けたとされ、随所に『閑居友』からの引用が記されている。
【参考】安田孝子『説話文学の研究』(和泉書院、一九九七)、山口真琴『西行説話文学論』(笠間書院、二〇〇九)
【執筆者:工藤美和子】