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餓鬼草紙

提供: 新纂浄土宗大辞典

がきぞうし/餓鬼草紙

六道の一つである餓鬼道に堕ちたものの業苦を描いた一二世紀後半の絵巻物。現在二巻が残っており、東京国立博物館本(河本家旧蔵、国宝)は、詞書がなく絵のみの一〇段からなり、伺嬰児便しえいじべん餓鬼食糞じきふん餓鬼食吐じきと餓鬼など『正法念処経しょうぼうねんじょきょう』に説く餓鬼を緻密で優れた描写でもって表現する。京都国立博物館本(曹源寺旧蔵、国宝)は詞書と絵各七段からなり、典拠とする経典は『盂蘭盆経』をはじめ種々あり、画風も段ごとに異なる。【図版】巻末付録


【執筆者:多川文彦】