非時食
提供: 新纂浄土宗大辞典
ひじじき/非時食
食事をすべき時間以外に摂る食事のこと。一般的に夕食のことで、薬石ともいう。斎(正しい時間に取る食事=午前中の食事)の対義語。Ⓢakāla-bhojana。非時とは正午から翌朝の未明までで、この間に比丘・比丘尼は食事を摂ることが禁じられている。これは具足戒の一つであると共に、在家の八斎戒の一つでもある。また食には正食と非正食の二種があるとされる。正食は、応食や蒲闍尼食などともいわれ、その内容は経論によって異なるが①飯②麨③乾飯④魚⑤肉(『四分律』一四)や①飯②粥③餅麨④魚肉⑤羹臛(『阿毘達磨集異門足論』八)の五種とされる。非正食は、応噉や佉陀尼食などともいわれ、こちらも内容に異同があるが、①根②茎③葉④花⑤果の五種が示されることが多い。正午から翌朝未明までの間、この二種の食を摂ることが禁じられている。ただし薬については、非時であっても比丘・比丘尼が病であれば服用することができるとされ、これに由来して非時食である夕食を薬石という。またジュース(漿)についても非時に飲むことが許されており、これを非時漿という。
【資料】『四分律』、『十誦律』
【執筆者:石田一裕】