隆寛律師略伝
提供: 新纂浄土宗大辞典
りゅうかんりっしりゃくでん/隆寛律師略伝
一巻。隆寛の伝記。著者・成立年は不明。隆寛の伝記は『明義進行集』『本朝高僧伝』等にみえるが、単独の伝記は本書のみである。『選択集』伝授、嘉禄の法難、雅成親王への手紙など隆寛の事跡を『明義進行集』や法然伝から総合的にまとめている。本文中には隆寛が床中で記したとされる「羈中吟」が見えるが、仮名で書かれた『四十八巻伝』所収文とは異なり、『九巻伝』と同じ漢文体で書かれている。また実成房が遺骨を京都に持ち帰り吉水に墓を作ったという、『九巻伝』のみにみられる記述があることなどから『九巻伝』との関連が指摘できる。古写本は現存せず、貞享二年(一六八五)の刊本がある。
【所収】浄全一七
【執筆者:伊藤茂樹】