部転
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぶてん/部転
江戸時代の浄土宗檀林における進級課程。そこでは修学課程を名目・頌義・選択・小玄義・大玄義・文句・礼讃・論・無の九部に分けていた。無部は定まった学課ではないため実質的には八部。それらは、名目部から順次修学していくが、試験に合格した者が進級する建前になっていた。各部の修学期間は三年であるため、無部に至るまでには二四年間を要した。無部に進級すると能化となる資格が与えられ、檀林能化や紫衣地・別格地の住職になることができる。しかし、それにはさらに長い修学期間が必要であった。また、五重・両脈の伝授や布薩・璽書を授けることも許された。一方、名越派では礼讃部から修学が始まり、以降は選択・玄義・文句・論・経・無部へと進級するようになっていた。修学期間は、礼讃部が二年であり、選択部から経部までは各三年間となっていた。したがって無部に至るまでには一七年間を要した。
【参考】宇高良哲「浄土宗名越派檀林の僧侶養成」(『水谷幸正先生古稀記念論文集 仏教教化研究』思文閣出版、一九九八)
【参照項目】➡学寮
【執筆者:𠮷水成正】