選択本願念仏集講義
提供: 新纂浄土宗大辞典
せんちゃくほんがんねんぶつしゅうこうぎ/選択本願念仏集講義
桑門秀我著。和本三巻四冊。明治二六年(一八九三)四月一四日出版、宇田総兵衛印刷・発行。浄土宗の伝統的解釈による『選択集』の講義。著者はその基本姿勢について、聖光『徹選択集』、良忠『決疑鈔』、聖冏『直牒』等に依拠し、先哲の指南に従いながらも時として私見を交えて初学者の助けとし、異論が多い場合には努めてその穏当な解釈を挙げて読者が迷わないように願ったとしている。冒頭に①縁起(『選択集』述作のいきさつ)、②奇瑞(述作後の二祖対面)、③相伝(門下への伝授)、④流派(門下とその基本的立場)、⑤大猷(大意としての略選択)、⑥信毀(信仰と批判)、⑦異本、⑧末書(伝統的注釈書)を略記して序説とする。本篇では①科段、②義山版による本文引用、③注解を繰り返す。全篇にわたり鎮西白旗派の宗義による内容豊かな注解を与える点で極めて貴重である。
【執筆者:本庄良文】