観音講
提供: 新纂浄土宗大辞典
かんのんこう/観音講
観音菩薩の徳を講讃する法会、さらにはその信者の集まり。正観音講、千手観音講などそれぞれの講がある。平安時代、宮中仁寿殿において、毎月一八日に観音を本尊として玉体安穏を祈る観音供が行われていた。『源平盛衰記』四二に、四国に渡った義経が阿波から讃岐へ向かう途中、名主・百姓ら百余人を講衆とする金仙寺の月次観音講と出会い、弁慶が高声に観音講式を読み上げた話を載せている。貞慶は建仁元年(一二〇一)『観音講式』を執筆し、京都の海住山寺において補陀落往生を欣求している。中世以来、毎月一八日の観音講は女性の講としての性格を有した。近世の農村社会においては、子授けや安産・子育てなどを祈願する「子安観音」として全国的に信仰され、組織された講は「観音講」とか「子安講」とよばれ、出産・子育ての情報交換の場であるとともに娯楽の場でもあった。
【参照項目】➡観音信仰
【執筆者:今堀太逸】