かんぎょうしょたひつしょう/観経疏他筆抄
一四巻。『観経四帖疏抄』『観経四帖疏抄教相鈔』『他筆鈔』ともいう。証空の講述を門弟の観鏡証入が筆録したものと伝える。成立年代は不明だが、『観門要義鈔』の講録以後と考えられる。善導の『観経疏』の肝要に対して、問答形式で明らかにしている。特に顕行・示観、正因・正行の名目(術語)を用いている。本書の主題は弘願に帰した境地について明かすことにある。さらに阿弥陀仏による救済(念仏)の体解から釈尊の仏道(戒)の実践への展開が明かされている。
【所収】西叢五・六
【参考】上田良準『浄土仏教の思想』一一(講談社、一九九二)
【執筆者:中西随功】