証空が『観経疏他筆鈔』等で定散二善の解釈に用いている名目(術語)であり、善導が散善顕行縁・定善示観縁と称していることに依る。『観経』序分のこの二縁において韋提希が自力から他力に転入する事実を明かしている。顕行とは定散二善を自力修行する徳目と受けとめる立場であり、示観とは定散二善を弘願を識知せしめるための他力観門と受けとめる立場である。つまり顕行は行門、示観は観門に充当できる。
【参考】上田良凖『浄土仏教の思想』一一(講談社、一九九二)
【執筆者:中西随功】