西帰直指
提供: 新纂浄土宗大辞典
さいきじきし/西帰直指
四巻。清・昆山の周夢顔(一六五五—一七三八)彙集。成立年代不詳。本書は念仏によって西方極楽浄土への往生を求めることを薦めたもの。本書の最初には袾宏の「普勧念仏」が取り上げられており、袾宏の思想をうけていることも明らかである。本書は四巻に分かれ、第一巻「浄土綱要」は、浄土経典に説かれる阿弥陀仏の因地・発願をはじめ、四十八願とその浄土の荘厳、および念仏によって西方極楽浄土へ往生できることが説かれている。第二巻「疑問指南」は、主になぜ極楽浄土への往生が必要かということや世間の人々がどうすれば往生できるかなどの十疑を設けて、それに回答する。第三巻「啓信雑説」は、様々な事例をあげて浄土門を信ずべきであると論じる。第四巻「往生事略」は、主に極楽浄土へ往生した菩薩・高僧・尼僧・王臣・居士・童子・女人・悪趣等の往生伝で、乾隆時代(一七三六—一七九五)の居士浄土仏教の重要な文献である。後、印光によって大量に刊行され配布され、現代の中国浄土教にも影響がおよんでいる。
【所収】『安士全書』、続蔵六二
【執筆者:肖越】