自性身
提供: 新纂浄土宗大辞典
じしょうしん/自性身
特に唯識で説かれる、仏身の一つ。Ⓢsvabhāvakāya。法身の異名とされる。すべての仏の共通の本質である常住不変なる清浄法界、法性を指し、受用身、変化身の拠り所となるもの。『大乗荘厳経論』三に「自性常なるに由ての故に一切諸仏の自性身常住なり」(正蔵三一・六〇六下)といい、また無性釈『摂大乗論釈』九では「自性身中、仮の所立にあらざるが故に自性と名く」(正蔵三一・四三六上)という。ただし法身は広義に仏の総体として三身すべてを包括する場合があり、そのときには法身と自性身は同義ではない。例えば『成唯識論』一〇に「是くの如き法身に三相の別あり。一に自性身。…」(正蔵三一・五七下)とある。身土論では、自性身の仏土は仏身と不可分であり、またすべての仏の間に差異はないという。
【執筆者:小澤憲雄】