生身
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょうじん/生身
ⓈkāyaⓈjanma-kāyaⓈupapattiなどに対応する訳語。広義には父母から授かった生身の身体、肉体の意味。狭義、特に大乗の立場からは救済行として仏・菩薩がこの世に肉体をとって化現した化身の身体の意味。釈尊の人間存在に関する熟思から生じた概念であり、釈尊は小乗の立場からは摩耶夫人を母とする人間存在すなわち生身であるし、大乗の立場からは八相成道の生身の仏(仏の化身)となる。仏の二身説において法身と対に用いられ、衆生・凡夫・菩薩・仏の存在を身体面から捉えた語。ちなみに「法を見る者は仏を見る」として、歴史上の生身釈尊にも法身の萌芽が見られる。『四十八巻伝』三三に「上人の頭光を、まのあたり拝見し給いしのちは、一向に生身の仏のおもいをなし給き」(聖典六・五四六)とあるように、九条兼実は法然を生身の仏と見ていたことがうかがわれる。
【執筆者:中御門敬教】