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王本願

提供: 新纂浄土宗大辞典

おうほんがん/王本願

四十八願のうち、第十八念仏往生願に対する法然による呼称。『選択集』六に「四十八願の中に、すでに念仏往生の願を以て、本願の中の王と為す」とあり、その理由として「およそ四十八願、皆本願なりといえども、殊に念仏を以て、往生のりと為す。故に善導は『釈』に云く、〈弘誓多門にして四十八なれども、ひとえ念仏を標して、最も親しとす〉」(聖典三・一三五/昭法全三二六)と述べている。なお『選択集』一一には「念仏三昧は重罪なお滅す。いかにいわんや軽罪をや。余行は然らず。あるいは軽を滅して重を滅せざる有り、あるいは一を消して二を消せざる有り。念仏は然らず。軽重兼ね滅し、一切あまねす。譬えば阿伽陀薬の遍く一切の病を治するがごとし。故に念仏を以て王三昧とす」(聖典三・一六三/昭法全三三八)とあって、念仏往生の願を王本願とする所以を明らかにしている。


【参照項目】➡念仏往生願


【執筆者:髙橋弘次】