あかだやく/阿伽陀薬
薬一般、とりわけ解毒薬を指す。阿伽陀に同じ。阿伽陀は毒や病を意味するⓈgadaに否定辞が付されたⓈagadaの音写。不死薬・健康などと訳され、服用すれば病にかかることがなくなるから無病とも、効能高く価値が無量の意味で無価とも訳される。また阿伽陀をⓈāgadaと捉える通俗的語源解釈によって普去(普く取り去る)とも訳す。浄土教では、阿弥陀仏の誓願に喩える。『選択集』に「念仏は然らず。軽重兼ね滅し、一切遍く治す。譬えば阿伽陀薬の遍く一切の病を治するがごとし」(聖典三・一六三/昭法全三三八)とある。
【執筆者:南清隆】