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淡島信仰

提供: 新纂浄土宗大辞典

あわしましんこう/淡島信仰

和歌山市加太かだにある淡嶋神社を本社とし、その祭神である少彦名命すくなひこなのみことを崇拝する信仰。婦人病平癒、子授け、産育守護をはじめ、裁縫上達、縁結び、夫婦和合など、性と生殖を中心とする女性の人生の守護にまつわる信仰が中心となっている。少彦名命は、航海や医薬の神として信仰されていたが、江戸時代に、淡島願人と呼ばれる人々が、淡島神の入った厨子を背負いその徳を説いて回ったことにより、婦人病や安産など、女性を救済する神として全国に信仰が広まった。最盛期には全国に二千社ともいう淡島神社が勧請されたといい、各地に「加太の淡島さんへ流れ着きますように」と唱える流し雛行事が伝わっている。加太の淡嶋神社には、二月八日の針供養、三月三日の雛流しに多くの参拝者が訪れ、また人形供養の神社としても信仰を集めている。


【参考】鷲見定信「針供養」(『仏教行事歳時記 二月 節分』第一法規出版、一九八八)、有安美加「淡島信仰の原像と歴史的展開」(日本民俗学会『日本民俗学』二六〇、二〇〇九)


【参照項目】➡針供養


【執筆者:名和清隆】