浄楽寺
提供: 新纂浄土宗大辞典
じょうらくじ/浄楽寺
神奈川県横須賀市芦名。金剛山勝長寿院。神奈川教区№一五八。文治元年(一一八五)に源頼朝が父・義朝の菩提を弔うために創建された。もとは鎌倉にあり勝長寿院といったが、同五年に北条政子・平義盛の助縁によって現在地へ移建された(異説には建永元年〔一二〇六〕の大風による堂宇破損が機ともされる)。鎌倉にあったときは大御堂などとも呼ばれ、現在でも地名として残っている。建治元年(一二七五)に良暁が移住し中興したため、開山としている。天正一九年(一五九一)徳川家康より朱印地三石を賜った。火災や震災によって幾度か堂宇が半壊しているが、いずれも再建されている。本尊である阿弥陀三尊は国重要文化財に指定されており、調査の結果、運慶が小仏師を率いて平義盛のために造立したものであることが判明した。三尊のほか、不動明王・毘沙門天も同じく運慶の作である。境内墓地には日本近代郵便制度を整えた前島密の墓がある。
【資料】『浄土宗寺院由緒書』中(『増上寺史料集』六)、『新篇相模国風土記稿』(『大日本地誌大系』四〇)
【参考】『平成版浄土宗神奈川教区寺院誌』(神奈川教区教務所、二〇〇九)【図版】巻末付録
【執筆者:沼倉雄人】