正行房へつかわす御返事
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょうぎょうぼうへつかわすおへんじ/正行房へつかわす御返事
法然が正行房に宛てた返信。『昭法全』に和文で三編が収録されている。この書状は、昭和三七年(一九六二)に興善寺(奈良市十輪院畑町)所蔵の阿弥陀仏像の胎内から発見されたものである。三編とも紙片で発見されたため全文は伝わっていない。また末尾には法然の直筆とみられる源空の名が記されている。其一は、前文のみが伝わり、正行房に近況を伝えている。其二は、其一とほぼ同様であるが、わずかに本文が残されており、正行房が熊谷次郎直実のことを記した書状に対する返信であることがうかがわれる。其三は、「夏過ぎて候いて、登らせ給うべく候」(昭法全一二一七)と見え、正行房が京に上ることをうかがわせる内容である。
【所収】昭法全一二一七
【執筆者:石田一裕】