黒色の僧衣、墨染めの衣。南アジアやインドの僧侶は黄褐色おうかっしょくの衣を着ており、僧侶が黒衣を着る習慣は、中国において禅僧を中心として広まった。俗人を指す白衣に対して、黒衣は僧侶の総称として用いられる。日本では、入道した剃髪者を円頂黒衣といい、一般僧侶を黒衣と称する。日本中世から近世にかけては、寺院社会から離脱した律僧ら遁世僧が黒衣を着用するのがその意思表明となり、黒衣は遁世僧の象徴ともなった。
【参照項目】➡黒衣
【執筆者:西村玲】