有相・無相
提供: 新纂浄土宗大辞典
うそう・むそう/有相・無相
有相とは相のあるものをいい、無相とは相のないものをいう。一般に有相は執着や実体的な捉え方、すなわち有漏の境界を表し、無相は無執着・無我・空といった無漏の境界を表すものの意味で用いられることが多い。ただし、浄土宗においては極楽浄土および阿弥陀仏を有相として捉えているが、この有相は有漏の境界を意味するものではない。極楽浄土の有相荘厳や阿弥陀仏の人格性・救済作用は、四十八願成就によって実現されたものであるから、有漏の有相とは次元が異なる。すなわち、極楽浄土および阿弥陀仏の特質である有相性は、空や無我といった無相を踏まえた上で示されたものであり、無漏の境界のものであるから、勝義の有相といえる。
【執筆者:曽根宣雄】