放下念仏踊り
提供: 新纂浄土宗大辞典
ほうかねんぶつおどり/放下念仏踊り
愛知県新城市大海・鳳来に伝わる念仏踊り。放下とは、執着を捨てて仏道に精進する修行僧の生活のことを指すが、徐々に諸国を放浪する流浪僧のことを指すようになった。このように放下僧が行った大道芸に一遍の流れを汲む念仏踊りが加わることによって、放下念仏踊りとなり各地に伝わった。現在では愛知県などに残っている。例えば、愛知県新城市大海の大海放下保存会によって伝わる「放下おどり」は、八月一四日と一五日に泉昌寺の境内から新盆の家まで練り歩く。内容は、精霊の依代になる灯籠を先頭に、饅頭笠をかぶり浴衣掛けで手甲・脚絆をつけ草鞋をはき、鉦と笛を持ち特徴的な大団扇を背負い大太鼓を抱えた踊り手が囃しながら境内で踊る。十数人で行われ、行列を組んで各家を訪ねる。次第は、道中、道行、門かがり、庭入、鎮め、歌枕、念仏、ほうか、出、ねり、そそり、祇園囃子、おひねりの順序で行われる。昭和三六年(一九六一)に県の無形民俗文化財に指定された。
【参考】佛教大学民間念仏研究会編『民間念仏信仰の研究 資料編』(隆文館、一九六六)
【執筆者:齋藤知明】