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往生人無穢

提供: 新纂浄土宗大辞典

おうじょうにんむえ/往生人無穢

往生人に死の穢れの無いことをいう、日本中世に散見される思想。日本中世においては、死に触れることは、不浄のこととして禁忌の対象とされており、一定の期間(『延喜式』には、人の死穢三〇日と規定される)を経るか、祓いを行わなければ、神社参拝、神事への参加、貴族社会にあっては参内が控えられた。しかし、念仏往生信仰が広まるなか、往生を有り難くめでたいことと捉えて、「往生人穢れなし」を宣言するものが現れた。『玉葉』『玉蘂ぎょくずい』などの貴族の日記に見られる事例では、死穢による禁忌としばしば対立することもあった。


【参考】千々和到「仕草と作法」(『日本の社会史』八、岩波書店、一九八七)、水藤真『中世の葬送・墓制』(吉川弘文館、一九九一)


【執筆者:東海林良昌】