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禁忌

提供: 新纂浄土宗大辞典

きんき/禁忌

災厄の及ぶのを未然に防ぐために、聖なるものや不浄とされる場所・人・事物への接近・接触を忌避すること。学術用語となったポリネシア語の「タブー」の訳語にあたるとされる。日本古来のみに相応し、単に近づかないという忌避の態度をとる消極的禁忌と、みそぎをしたり、はらいをしたり、特定の場所に忌み籠もり、煮炊きを別にする別火生活を送ったりして自らの聖性を磨くことに励む積極的禁忌とがある。伝承によりある作物に限って耕作したり、食べないとする禁忌作物や、飼うことを忌む動物禁忌がある。このほかに鬼門北枕の方位、旅行・移転の方位・日時、六曜や民間暦による日や月の忌みがある。また言語には忌み言葉があり、特定の数を忌む忌数や、日常生活の場に限らず地上・山中・海上といった特定の場所における禁忌行為などや、習俗による禁忌などあらゆる生活面の隅々に及んでいる。


【参考】佐藤俊夫『習俗』(塙書房、一九六六)、竹中信常『日本人のタブー』(講談社、一九七一)


【参照項目】➡忌み


【執筆者:藤井正雄】