巡教師
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅんきょうし/巡教師
明治以降、全国各地への巡教を任とした布教師のこと。巡教使とも表記され、現在の指定布教師の前身に相当する。巡教師という語は、明治一四年(一八八一)の知恩院大会議において、派出説教師を代理・使僧・巡教師の三類とし、全国門末寺院を春秋両度あるいは四季に一周する者を巡教師と規定したことに始まる。一宗管長制となってからは、同二二年の改正「宗制」において「巡教使は管長の命を受け各大教会を巡教し及毎年一回宗務所に集会し管長の諮詢に応じて布教上の得失を講究す」(第二六条)、「大教会巡教使は大教会長の命に依り、部内各中教会を巡教す」(第四四条)と、宗務所の巡教使および大教会の巡教使について規定され、翌年の「巡教規則」一七条によりさらに細かな制度化がなされた(知恩院では同二六年「総本山巡教規則」にて別途規定)。その後、一宗の巡教制度は度々改められ、同三一年「布教規則」では巡教師と名称変更、昭和一〇年(一九三五)「教令布教規則」では指定巡教使と変更、同一六年「宗制」以降、指定巡教に該当する用語は指定布教になった。
【参考】『知恩院史』(知恩院、一九三七)、『浄土宗布教伝道史』(浄土宗、一九九三)、『規則類纂』(一八八九~九七)
【執筆者:後藤真法】