就行立信
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅぎょうりっしん/就行立信
浄土に往生するための行に従って信心を確立すること。善導の『観経疏』散善義、深心釈の信機・信法を説く中で、就人立信と並べて説かれる(聖典二・二九四/浄全二・五八下)。そこには、そもそも行に二種ありとして、正行と雑行を明かし、その正行について、読誦・観察・礼拝・称名・讃歎供養の五種を挙げ(五種正行)、さらに第四の称名は阿弥陀仏の本願の行であることから正定業と定め、その他の四種を助業とする。また、この五種正行以外のすべての行を雑行とし、阿弥陀仏の極楽浄土に往生するための行としては、雑行ではなく正行を修すべきことを説いている。この正行を修すことで浄土往生が決定すると深く信じることを就行立信という。『選択集』二に見られる法然の釈は、善導の釈を踏襲したものである。また、良忠は『伝通記』散善義記一(浄全二・三八七上)において、就行立信に三義有ることを明かし、そこから三重の信を立てる。一に正雑二行により往益あることを信じ、二に五種正行により阿弥陀仏と親近の益あることを信じ、三に正定業により念仏が本願決定業であることを信じるとしている。
【執筆者:兼岩和広】