安心請決之事
提供: 新纂浄土宗大辞典
あんじんしょうけつのこと/安心請決之事
一巻。『安心請決』ともいう。聖聡の口伝を門人の了暁が筆録したもので、聖聡晩年の口述かと推測される。三巻七書においてかえりみられない『一枚起請文』を取り上げて、念仏行者の、安心相伝不相伝による往生の得不を説いている。『一枚起請文』の「南無阿弥陀仏と申して疑なく往生するぞと思い取りて申す外には別の子細」(聖典四・二九九/昭法全四一六)なしとの説示について、安心をもって念仏を称える者は『往生記』に説かれる第五愚鈍念仏の機に説かれる機根と同じであり、浄土宗の教えは『一枚起請文』に帰結することを明かしている。
【参考】坪井俊映「『安心請決略抄』について」(大谷旭雄編『聖聡上人典籍研究』大本山増上寺、一九八九)
【参照項目】➡安心請決略抄
【執筆者:和田典善】