安心決定鈔
提供: 新纂浄土宗大辞典
あんじんけつじょうしょう/安心決定鈔
二巻。著者不詳。現存する古写本奥書から、一四世紀はじめには流布していたことがわかる。西山流の他力念仏を機法一体説により仮名で述べたもの。弥陀が十劫の昔に成就した正覚の一念にかえることによって衆生が救済されるとする機法一体説が展開され、衆生の自力を廃した、仏の絶対他力を強調する点に特色がある。西山派系統の念仏思想の影響が強く表れている。蓮如が重視したことなどから真宗教学にも影響を与えたが、蓮如の機法一体説とは内容を異にする点には注意を要する。
【所収】正蔵八三、真宗聖典、龍谷大学仏教文化研究所編『龍谷大学善本叢書』四(同朋舎出版、一九八三)
【参考】上杉慧岳『安心決定鈔の研究』(法蔵館、一九五四)、加藤義諦「安心決定鈔について」(『龍谷教学会議研究紀要』二九、一九九四)、満井秀城「蓮如上人と安心決定鈔」(『蓮如上人研究』思文閣出版、一九九八)
【参照項目】➡機法一体
【執筆者:藤田真隆】