操作

十万億土

提供: 新纂浄土宗大辞典

じゅうまんのくど/十万億土

十万億の仏国土のこと。「じゅうまんおくど」とも読む。十万億仏土の略。極楽浄土西方十万億土を過ぎたところにある。これは『阿弥陀経』に「これより西方、十万億の仏土を過ぎて、世界あり。名づけて極楽という」(聖典一・三一六/浄全一・五二)とあるのに依る。この娑婆から極楽までの間に過ぎていく「十万億仏土」について、サンスクリット本およびチベット訳では「十万、千万の仏国土」とし、玄奘訳の『称讃浄土経』では「百千俱胝那庾多くていなゆた仏土」(俱胝、那庾多ともに無限というに等しい数をいう。浄全一・一八五上)としており、諸訳によって必ずしも一致していない。これらは距離や語意の相違ではなく、西方極楽浄土に至る距離が果てしなく遠いということを示すものである。


【参考】望月信亨「過十万億仏土の数量に就て」(『浄土教之研究』日本図書センター、一九七七)、坪井俊映『浄土三部経概説』(法蔵館、一九九六)、藤田宏達『阿弥陀経講究』(真宗大谷派宗務所出版部、二〇〇一)


【参照項目】➡西方西方浄土


【執筆者:伊藤弘道】