以信転方
提供: 新纂浄土宗大辞典
いしんてんぼう/以信転方
本尊によって方位を変えること。本尊が阿弥陀仏の場合は堂宇の方向にかかわらず、本尊の奉安している方角を西方とみなすこと。この場合本堂は、すべて「東向き」ということになる。釈尊の場合は東方とし、宗祖・開山などの場合は実方位(実際の方角)とする。道場洒水などの場合にはこれに基づいて作法をする。授戒会の正授戒のときには、授戒本尊を本堂正面に奉安するため東方となる。枕経などの場合は名号などを奉安した方角が西方となり、新亡の頭が本尊に向かって右側(頭北面西)になるように安置する。地鎮式などの露地に名号などを奉安した場合も同様である。これは『往生礼讃』に「必ず事の礙りありて、西方に向うに及ばずば、ただ西に向かう想をなすもまた得たり」(浄全四・三五六下/[1]というように、常に西方を向いているという信仰による作法をいう。
【参考】『浄土宗の行儀』(東京教区教務所、一九七四)、宍戸栄雄『本堂の荘厳 付法服と執持』(近畿地方教化センター、一九七七)
【参照項目】➡道場洒水
【執筆者:西城宗隆】