仏 (ぶつ)
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぶつ/仏
覚りを開いた人のこと。ほとけ。Ⓢbuddhaの音写語。仏陀とも表し、覚者と意訳する。「ほとけ」という訳語は、一説には「ほと」が仏あるいは仏教を意味し、「け」は性質・気配を意味する「気」、またはその道の専門家を意味する「家」からきていると考えられている。仏とは、覚他・覚行窮満の聖者であるが、特に仏教の開祖釈尊について言えば仏となった後、今後は、その俗名「ゴータマ」という名前で呼んではならない、と最初の弟子達にも注意した。教祖を俗名で呼ばないことは、東西を問わず見られる。キリスト教でも、教主を呼ぶときは「おお、我が主よ(マイ ロード)」と言う。「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」という念仏は、決して仏を呼びつけているわけではなく、仏の名前をくりかえし称賛しながら、衆生の願いを込めて行うものである。俗に「仏」が「亡者」と同義に使われるが、人には仏性があるという悉有仏性の視点からすれば、言い得て妙とすべきであろう。
【執筆者:真野龍海】