五逆往生
提供: 新纂浄土宗大辞典
ごぎゃくおうじょう/五逆往生
五逆罪を犯した人も往生すること。『観経』下品下生では、「あるいは衆生あって、不善の業たる五逆十悪を作して、諸もろの不善を具す。…かくのごとき愚人、命終の時に臨んで、…声をして絶えざらしめ、十念を具足して、南無阿弥陀仏と称す。仏名を称するが故に、…すなわち極楽世界に往生することを得」(聖典一・三一二/浄全一・五〇)と、五逆罪を犯した者でも念仏によって極楽往生できると説いている。一方、『無量寿経』第十八願には、「ただ五逆と誹謗正法とを除く」(聖典一・二二七/浄全一・七)とあり、五逆罪を犯した者は往生できないと説いている。この二文の会通については古来浄土教祖師の間に諸説ある。
【執筆者:安孫子稔章】