五比丘
提供: 新纂浄土宗大辞典
ごびく/五比丘
成道後、梵天勧請によって説法を決意した釈尊が、ベナレス(バラナシ)郊外の鹿野苑で最初に法を説いた五人の修行者のこと。その五人とは、アージュニャータ・カウンディンニャ(ⓈĀjñāta-kauṇḍinyaⓅAñña-kodañña阿若憍陳如)、アシュヴァジット(ⓈAśvajitⓅAssaji馬勝、阿説示)、ヴァーシュパ(ⓈVāṣpaⓅVappa婆沙波、婆頗)、マハーナーマン(ⓈMahānāmanⓅMahānāma摩訶那摩、摩訶男)、そしてバドラジット(ⓈBhadrajitⓅBhaddiya跋提耶、跋提)。彼らは最初、釈尊と共に苦行を行じていたが、苦行は真の道にあらずと考えて苦行を放棄した釈尊を見捨て、ベナレス(バラナシ)に立ち去った。しかし、成道後の釈尊の説法を聞いて、まずアージュニャータ・カウンディンニャが、続いて他の四人も悟りを開き、五人は釈尊の弟子となった。ここに出家者の集団、すなわち仏教教団が成立し、真理を悟った仏、仏が説いた法、そしてその仏と法に基づいて修行する僧伽という三宝が誕生したのである。この五比丘は梵本をはじめ『無量寿経』諸本の冒頭で、釈尊の弟子を列挙する最初に登場する。
【執筆者:平岡聡】