二乗作仏
提供: 新纂浄土宗大辞典
にじょうさぶつ/二乗作仏
声聞と縁覚の二乗が成仏すること。二乗成仏ともいう。一般的には二乗は仏になることができないとされるが、『法華経』では法華一乗の立場から、二乗と菩薩の差異は本質的なものではないとして、二乗もまた成仏すると主張する。また『涅槃経』には一切衆生悉有仏性説を説き、すべての衆生に仏と成り得る本性があるとして、二乗のみならず一闡提においても成仏する可能性を示唆している。自分のさとりだけを求める小乗の心をひるがえして大乗に向かうことを廻心向大といい、天台宗や華厳宗では一切皆成の立場からすべての二乗が廻心して成仏することを主張する。一方、法相宗では五姓各別の立場から、二乗に決定性と不定性の二種があり、決定性の二乗は廻心向大することがなく、不定性の二乗は無余涅槃に入る直前に廻心して大乗の菩薩になると理解する。
【資料】『成唯識論』
【参照項目】➡五姓各別
【執筆者:工藤量導】