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九体阿弥陀

提供: 新纂浄土宗大辞典

くたいあみだ/九体阿弥陀

観経』に説かれる九品往生が典拠となり、上品上生から下品下生までの九品にそれぞれ阿弥陀仏を配したもの。九品阿弥陀ともいう。この形式の阿弥陀像は、平安時代中期頃から制作され始めたと考えられ、『御堂関白記』や『栄花物語』には、藤原道長が寛仁四年(一〇二〇)に無量寿院を建立し、その本尊として丈六九体阿弥陀を安置したことが記されている。九体の阿弥陀仏は、それぞれ異なった印相を結ぶ姿が『別尊雑記べっそんざっき』四四(正蔵図像三)に示されているが、現存する最古の作例である京都府木津川市の真言律宗浄瑠璃寺の九体阿弥陀像(国宝)は、中尊を除きすべてが定印を結んでいることから、彫刻的表現としては、印相の差異はそれほど重視されなかったようである。また、東京世田谷の浄真寺にも九体阿弥陀が祀られ、「九品仏」の通称で知られる。【図版】巻末付録


【参照項目】➡九体阿弥陀堂浄真寺九品


【執筆者:藤田直信】