三具足
提供: 新纂浄土宗大辞典
みつぐそく/三具足
香炉一口、華瓶一口、灯燭一基の三を一組として仏前に据える供養具。前机などの卓上に香炉を中央に置き、向かって右に灯燭、左に華瓶を並置する。前机は五具足(華瓶と灯燭とを一対にして左右対称で計五点としたもの)、脇壇は三具足にされることが多い。高座の前卓に経供養と称して三具足を置き、向かって左より華瓶・香炉・灯燭(木蠟)とすることがある。『四十八巻伝』一七には善導の御影の前机に一対の花瓶と火舎香炉が描かれている。三具足の例は、『慕帰絵詞』(観応二年〔一三五一〕)に香炉・燭台・華瓶が表されて、書院(座敷)飾りの規式書である『君台観左右帳記』(永正八年〔一五一一〕)に「おしいたに三幅一対・五幅一ついかかる時は、かならず三具足をくべし」「諸飾は燭台一対・花瓶一対あるべし。香炉・香合は同前たるべし。これを五かざりとも云」とあり、一六世紀初めには三具足・五具足の名がつけられていた(『供養具と僧具』日本の美術二八三、至文堂、一九八九)。
【参照項目】➡五具足
【執筆者:西城宗隆】