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七仏通戒偈

提供: 新纂浄土宗大辞典

しちぶつつうかいげ/七仏通戒偈

釈尊を含む七人の仏(過去七仏)が共通して説いた教えを一つにまとめた、戒の根本の偈文。「諸悪莫作しょあくまくさ 衆善奉行しゅぜんぶぎょう 自浄其意じじょうごい 是諸仏教ぜしょぶっきょう」。『法句経』下(正蔵四・五六七中)などでは、二句目を「諸善奉行」とする。すべての悪をなすなかれ、多くの善を実行せよ、そして、自らの心を浄めよ、これが諸仏の教えである、の意。過去七仏とは、毘婆尸びばし仏、尸棄しき仏、毘舎浮びしゃふ仏、俱留孫くるそん仏、俱那含くなごん仏、迦葉かしょう仏、釈迦牟尼仏をいい、七仏は古今に通じる仏教の真理の永遠性を象徴している。『景徳伝灯録』四によると、白居易が鳥窠道林ちょうかどうりん仏教の大意を質問すると、師は「諸悪莫作最善奉行」と答えた。さらに白居易が、「そんなことは三歳の子どもでも知っている」と言うと、師は「三歳の子どもでも知っていることが、八〇歳の老人でも行うことはできない」と答え、これを聞いて白居易は師に礼をなしたという(正蔵五一・二三〇中)。『一百四十五箇条問答』には「廃悪修善は諸仏の通戒なり。しかれども当時の我らはみなそれには背きたる身ともなればただひとえ別意弘願べっちぐがんの旨を深く信じて名号を称えさせたまわんに過ぎそうろうまじ」(聖典四・四七五/昭法全六六八)とあり、われわれは諸仏の戒をたもてない凡夫だから、ただ念仏に生きよと示している。


【参照項目】➡過去七仏


【執筆者:瀬戸隆海】