一向上人伝
提供: 新纂浄土宗大辞典
いっこうしょうにんでん/一向上人伝
五巻。番場蓮華寺三世同阿良向撰。嘉暦三年(一三二八)成立。奥書に「向祖の行状、二祖の益物」とあることから、一向俊聖および弟子礼智阿(一二五二—一三二五)の伝記。内容は、一向の誕生から出家・修学・遊行回国・踊り念仏、礼智阿をはじめとする門弟の随従、番場蓮華寺の創建、礼智阿への附法、一向の入滅、門下および教団の発展を述べ、礼智阿の入滅で完結している。単行された一向の伝記には、このような番場蓮華寺との関係を示すものの他に、天童市仏向寺に関係するもの、そのどちらにも該当しないものなど、いくつかの系統が存在する。
【所収】小川寿一編『浄土宗本山蓮華寺史料』(蓮華寺寺務所、一九八三)、同『一向上人の御伝集成』(同、一九八六)
【参考】長澤昌幸「『一向上人伝』について」(『時宗教学年報』二七、一九九九)
【参照項目】➡一向俊聖
【執筆者:長澤昌幸】