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女人成仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

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にょにんじょうぶつ/女人成仏

女性が仏に成ること。有名な例としては『法華経』「提婆達多品」の竜女の成仏があげられる。これは女性は法器ではないという指摘に対し、八歳の竜女が速やかに成仏してみせたという話であるが、女性のままではなく、男性に転じて仏となったとされる。また『維摩経』は、天女が女性のままで覚りを得ることを述べ、男女の相は幻のようなものであることを説く。このような女性の成仏については、大乗仏教特有の教説である点が指摘されている。確かに部派仏教では女性の成仏を否定する記述が見受けられるが、その一方で仏道修行により女性もその身のままで、阿羅漢の境地に達することができることも説かれている。さらに、仏教教団では、かなり早い段階から尼僧の教団が組織され、男性出家者と同様に修行生活を営んでいた点は注目に値するであろう。


【参考】中村元訳『尼僧の告白 テーリーガーター』(岩波書店、一九八二)、平川彰『初期大乗仏教の研究Ⅰ』(『平川彰著作集』三、春秋社、一九八九)


【参照項目】➡転女成男女人往生


【執筆者:石田一裕】