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提供: 新纂浄土宗大辞典

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[[袈裟]]の異名。[[袈裟]]の条相は、田の畔に模した田相の形をしているところからいう。「[[袈裟被着偈]]」には、「大いなるかな[[解脱]]の服、[[無相]][[福田]]の衣」とある。『[[釈浄土二蔵義]]』二三には[[袈裟]]の異名として[[福田衣]]・<ruby>応法妙服<rt>おうぼうみょうぶく</rt></ruby>・[[如法衣]]・<ruby>[[糞掃衣]]<rt>ふんぞうえ</rt></ruby>・[[慚愧]]衣・<ruby>割截衣<rt>かっせつえ</rt></ruby>・[[功徳]]衣を挙げ、離欲のために被着するとしている([http://jodoshuzensho.jp/jozensearch_post/search/detail.php?lineno=J12_0269 浄全一二・二六九上])。[[袈裟]]が田相になった[[縁起]]について『[[釈氏要覧]]』上に、「仏、[[王舎城]]に住す。帝釈石窟の前に[[経行]]して、稲田の<ruby>畦畔<rt>けいはん</rt></ruby>の分明なるを見て、[[阿難]]に語って言く、過去諸仏の衣相かくの如し。今よりこれに依って衣相を作れ」([http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT2018/V54.0269a.html 正蔵五四・二六九上])とあり、「田畦は水を貯え嘉苗を生長して、以って形命を養う。[[法衣]]の田潤すに四利の水を以てすれば、その三善の苗を増して、以て[[法身]]の[[慧命]]を養うなり」(同)と[[福田]]の相を示している。
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[[袈裟]]の異名。[[袈裟]]の条相は、田の畔に模した田相の形をしているところからいう。「[[袈裟被着偈]]」には、「大いなるかな[[解脱]]の服、[[無相]][[福田]]の衣」とある。『[[釈浄土二蔵義]]』二三には[[袈裟]]の異名として[[福田衣]]・<ruby>応法妙服<rt>おうぼうみょうぶく</rt></ruby>・[[如法衣]]・<ruby>[[糞掃衣]]<rt>ふんぞうえ</rt></ruby>・[[慚愧]]衣・<ruby>割截衣<rt>かっせつえ</rt></ruby>・[[功徳]]衣を挙げ、離欲のために被着するとしている([http://jodoshuzensho.jp/jozensearch_post/search/detail.php?lineno=J12_0269 浄全一二・二六九上])。[[袈裟]]が田相になった[[縁起]]について『[[釈氏要覧]]』上に、「仏、[[王舎城]]に住す。帝釈石窟の前に[[経行]]して、稲田の<ruby>畦畔<rt>けいはん</rt></ruby>の分明なるを見て、[[阿難]]に語って言く、過去諸仏の衣相かくの如し。今よりこれに依って衣相を作れ」([http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT2018/V54.0269a.html 正蔵五四・二六九上])とあり、「田畦は水を貯え嘉苗を生長して、以って形命を養う。[[法衣]]の田潤すに四利の水を以てすれば、その三善の苗を増して、以て[[法身]]の[[慧命]]を養うなり」([http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT2018/V54.0269a.html 同])と[[福田]]の相を示している。
 
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【執筆者:藤倉泰弘】
 
【執筆者:藤倉泰弘】

2018年9月17日 (月) 10:09時点における版

ふくでんね/福田衣

袈裟の異名。袈裟の条相は、田の畔に模した田相の形をしているところからいう。「袈裟被着偈」には、「大いなるかな解脱の服、無相福田の衣」とある。『釈浄土二蔵義』二三には袈裟の異名として福田衣応法妙服おうぼうみょうぶく如法衣糞掃衣ふんぞうえ慚愧衣・割截衣かっせつえ功徳衣を挙げ、離欲のために被着するとしている(浄全一二・二六九上)。袈裟が田相になった縁起について『釈氏要覧』上に、「仏、王舎城に住す。帝釈石窟の前に経行して、稲田の畦畔けいはんの分明なるを見て、阿難に語って言く、過去諸仏の衣相かくの如し。今よりこれに依って衣相を作れ」(正蔵五四・二六九上)とあり、「田畦は水を貯え嘉苗を生長して、以って形命を養う。法衣の田潤すに四利の水を以てすれば、その三善の苗を増して、以て法身慧命を養うなり」()と福田の相を示している。


【執筆者:藤倉泰弘】