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「生飯」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:24時点における最新版

さば/生飯

餓鬼畜生無縁仏などのために取り分けておく飯。生飯の読み方は、唐音の「さんぱん」より転じたともいう。二時じき作法のときには、食作法句頭が「等得」と発声し、生飯作法として一同が食膳の飯を一箸取り分けて片隅に置き、生飯偈を唱える。生飯は、七粒ぐらいの米粒または指先ほどの長さの麺類、指のこうの大きさの餅を箸などで皿などに取り分ける。食後にそれを集めて、所定の場所(生飯台・地面)に生飯を撒いて供養する。施餓鬼会では五如来の祭壇に御膳を供え、施餓鬼壇にもその御膳と同じ飯を盛り、別に浄水しきみ(またはミソハギ)を備えて水向けして餓鬼供養する。盂蘭盆では祖霊供養する外に、精霊棚の隅などに置いて供養するのも同類の施食である。一般的に生飯餓鬼畜生無縁仏などに施す鎮魂慰霊の飯食ぼんじきとされているが、浄土宗では平等に施す布施としての飲食おんじきである。法然は「とき生飯には菜を具しそうろうべきか。斎の散飯をば屋の上に打ち上げそうろうべきか、土器に取りそうろうべきか。我が引入の皿に取りそうろうべきか。答う。いずれも御心」(『一百四十五箇条問答』聖典四・四六六~七/昭法全六六一)と言及している。また「生飯施餓鬼とは出家沙門たる者毎日修する事なり」(『盆供施餓鬼問弁』三四ウ)とある。「鯖を読む」は、この生飯を取り分けることから派生した言葉とされる。


【参照項目】➡食作法等得生飯偈


【執筆者:西城宗隆】